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CindⅢ site

うつ病ADHDフリーライターのクズがクズに寄り添い生きづらい世の中をなんとか生き抜いていくためのブログ

タンパク質の性癖を暴こうとした話

雑談

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orcおはようございます。シンディです。

 

はじめに

このpostは卒検 Advent Calendar 2015の第14日目のエントリです。

穴ぼこだらけだから誰か埋めて!これ見た人は、書いて書いて!!
 
わたしはエンジニアでもなんでもないのですが、アドベントカレンダー文化を知った時からずっと参加したいと思っていたので、友人のやまじゅんくんが卒検の作るよーって言った時に真っ先に手を挙げさせていただきました。
快く受け入れてくれてありがとう!
 

自己紹介と研究対象について

とりあえず。
 

シンディさん

某女子大15卒。理学部。生物系の学科を卒業。
好きなアーティストはアンディ・ウォーホル
f:id:cindIII:20151214060125j:image
小学生のころ、進研ゼミの教材でブルー・ローズ(青バラ)プロジェクトのことを知ったのがきっかけで、バイオテクノロジーに興味を持つ。
子供時代は医療に貢献するためのバイテク最前線の研究者か薬剤師を目指すが、薬剤師の6年制化にしたがいぼこぼこと出来てきた、4年制の創薬系統の学科を志望。
しかしテクノロジーの分野って根本的な理学・サイエンス分野の発展を待たなきゃ無理なところもあるんじゃね?と気付いてしまい、うまくいけば常識をぶっ壊せるような理学部を志望することにした。

↑詳しくはこのエントリ見てもらえば分かるんだけど、定時制高校3年目の夏に高卒認定を取得し、高校の卒業見込みが立たないため高認経由で4年目の冬に大学受験→合格。結局、高校は卒業できなかった。大学1年目と高校5年目のダブルスクールを経て高校卒業。
経歴説明するの面倒臭いので「一浪した〜!」って言っちゃう系女子。
 

研究対象

細胞分裂のきっかけとなるタンパク質である「ORC」オークと読みます。
タンパク質って死ぬほど種類あるんですよ。その1つです。

ORCの前に:細胞分裂について

これが大前提なので、お話ししますね。
 
細胞分裂の流れ
細胞が分裂するときには、まず1つの細胞の中で、DNAが複製されます。
(1つの細胞の中に2セットの中身が入っていると考えてください)
それから、ガワの部分が中身を1セットずつ持って行って分裂します。

f:id:cindIII:20151214070910p:plain

DNAの「ほどかれポイント」
DNAは二重らせんのかたちをしていますね。
これってなかなかほどけるものじゃありません。でも、DNAを複製するときは、二重らせんが一回ほどかれなきゃいけないんです。
まあ謎だらけなんですが、とりあえずほどかれるんです。長い長いDNAが。
その時って、決まった1箇所からほどけるわけじゃないんです。何箇所も、何箇所も、ファスナーが壊れたときみたいな感じで、ぱくっと開くんです。そしてDNAのコピーをはじめます。
つまり、DNA上には、「ほどかれポイント(正確には複製開始点といいます)」がいくつもいくつもあるんです。
 
酵母では、DNA上のホニャララという部分が「ほどかれポイント」だと分かっています。
ホニャララという決まりを持った部分がないと、酵母は細胞分裂ができないのです。

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でも、ヒトでは酵母のホニャララに当たる部分が一体なんなのか分かっていません。
では、ヒトの「ほどかれポイント」は適当な場所にあったり、細胞の気分次第で決まるのでしょうか?いいえ、ヒトのDNAには、決まった「ほどかれポイント」があるんです。それは分かってるんです。
ただ、酵母みたいに「そこのDNAがホニャララならば、そこは酵母の"ほどかれポイント"」っていうルール・規則みたいなものが、ヒトでは分かっていないのです。
 

そこで、ORCが大事になる

ORCは、酵母もヒトも持っているタンパク質です。役割は、DNA上の「ほどかれポイント」にくっついて、「DNAほどき隊」を呼んでくることです。大事ですね。
その前に、ちょっとだけ酵母とヒトの状況を整理しましょう。
 
酵母の場合
DNAがホニャララなら、そこは「ほどかれポイント」になります。
酵母のORCは、DNAのホニャララなところにくっつきます。
ホニャララ=ほどかれポイント=ORCがくっつく場所、という等式が成り立ちます。
 
ヒトの場合
特に決まりはわかってないんだけど、とりあえず「ほどかれポイント」があります。
ヒトのORCは、DNAの「ほどかれポイント」にくっつきます。
ほどかれポイント=ORCがくっつく場所、というのは酵母と同じです。しかし、何が何ゆえほどかれポイントが定義されてるのか、わかんないんです。
 
ヒトORCがくっつくならば、そこがヒトの「ほどかれポイント」なんじゃね?
↑うちの研究室がやってたことは、つまりこういうことでした。
そして、ORCの大事な一部分をとってきて、酵母でいうホニャララ候補のDNAをいーーーーっぱい持ってきて、どれにくっつきやすいか調べました。そしたら、分かったんです。これヒトのホニャララ候補かもねってのが。
 
そしてほぼ同時期に、フランスで「ヒトのほどかれポイント全部よーく見てみりゃ酵母のホニャララみたいは規則性があんじゃね?」って研究をしてた人達が、ヒトのほどかれポイントにはこういう規則性を持ったところが多かったので、これがヒトのホニャララ候補かもねっていう論文を出しました。
 
うちの論文と、「ヒトのホニャララ候補かもね」箇所が一致してました。
 
激アツです。
 
そこでわたしたちは仮説を立てて、「ヒトのホニャララ候補かもね」箇所が、「本当にヒトのホニャララだ」ってことを確実にしていこうとしました。
 

やっとこ研究内容です。

しゃべりすぎました。すみません。
上記の、わたしたちの研究室が見つけた「ORCがくっつきやすいDNA」および
フランスのひとたちが見つけた「ヒトのほどかれポイントに多いDNA」
それらの共通点は、もっこりしやすいという衝撃の事実だったのです。
もうもっこりに注目するしかありません。 

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※「もっこり」は、正確にはG4構造と言います。もっこり現象はDNA複製界隈だけでなく、色んな分野で注目されています。
 

仮説:ORCはもっこり好きなんじゃないか

実は、生きてりゃDNAはいろんな動きをします。タンパク質を作るために、ちょっとDNAがほどかれたりしますし、なんかもっこりすることもあるんです。
そして、たまたまそこがもっこりしたタイミングで、ORCが
「うわーい!もっこりだー!くっつこう!」
と、もっこりにくっつけば、ORCに呼ばれたDNAほどき隊がDNAをほどいて、DNAの複製をしてくれるという訳です。
それを、ヒトの細胞の中で再現して測定して云々…すれば、ヒトORCがもっこり好きだということが全世界に広まります。性癖大暴露です。
もう細胞分裂だのなんだの忘れていいです。
もっこりが、好きか。そうでもないか。
これだけなんです。
 
わたしの研究内容:ORCがもっこり好きかどうか、光を使って暴いてやろう
  1. もっこりできる部分を持つDNAの輪っかを用意します。この輪っかは光るのですが、もっこりしてると光りません。
  2. ORCを細胞内で発生させてくれるDNAの輪っかを用意します。
  3. もっこり輪っかとORC輪っかの比率を変えたサンプルをいくつか用意します
  4. 一緒にヒトの細胞にぶちこみます(トランスフェクションと言います)。
  5. (うまくいってれば)たまに、光る輪っかがもっこりします。
  6. (仮説が正しければ)もっこり好きのORCはもっこりにくっつきます。
  7. (更に仮説が正しければ)もっこり好きのORCはもっこりを離しません。
  8. (更に更に仮説が正しければ)光る輪っかはもっこりのせいで光ることができなくなり/光る頻度が少なくなり、全体を見るとORCが多いサンプルほど光が弱くなります。
 
……
 

結果:よくわかりませんでした

まず、わたしが就活が終わったのが6月末。
8月は夏休み。そして8月末に内定先の社員旅行で大怪我して松葉杖、危ないので9月末まで研究停止。死ぬかと思った。
そして、研究材料の輪っか作りに難航(大腸菌頑張ってくれ〜〜〜)。
そしてそして、せっかく作った輪っかが細胞にぶちこまれてくれない。また作る。
なんとか3回だけ光の測定をする。3回で考察なんかできるわけねーだろがあ!!!
研究は年内で終了。ちーん。
 
1月からは卒業研究発表練習。
1月末に彼氏に振られて鬱になる(ガチ)。
 
2月上旬、這いつくばって卒業研究発表。
要約「よくわかりませんでした!(白目)」 
 
2月末、死にかけながらなんとか卒論提出。
要約「よくわかりませんでした!(白目)」
 
…というふうに、自分の研究内容や発表、卒論は散々でしたが、素晴らしい同期の仲間や(↓)
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優しい先輩や助手さん、大好きな教授(↓)と一緒に、やりたい研究ができてわたしは本当に幸せでした。
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スタバのギフトあげた。
 
おまけ:就活か、大学院進学か
わたしが就職を選んだのは、わたしの研究室よりやりたい研究が某国立上位大の院にしかなかったからです。ものすごーく頑張ればその院進学もできたかもしれないけど、そこまでの情熱は生まれなかった。
だからと言って内部に残ったら、私立の学費を払うことになる。え、わたしってそんなに学費を払って研究する価値のある、研究に向いてる人間?あれ?そこまでわたし研究向いてないかも?って思ったんです。
それに気付けたのも、良い経験でした。
わたしはせっかちだったんです。理学の研究は、思った以上に地道に地道を極めるものでした。
 

まとめ

ORCがもっこり好きかはまだ分からないので、研究室について。
 

研究の世界は、ないものだらけ

時間がない
上記の通りです。就活が後ろ倒しになった今年なんて、ほんとに大変だったと思います。アホか。理系学生のことを考えろ!と言いたくなります。本気で。
あと、自分で自由にやらせてくれるタイプの教授、コアタイムのない研究室も要注意です。最初は自分が研究にどれだけ時間がかかるのか分かっていないので、ついつい「もういっか〜続きは明日やろ」って帰っちゃったりします。それをもう少し、もう少しずつ粘っていれば、もう1度測定できたかもしれないのに。たくさん材料を作っておいて、後輩に継げたかもしれないのに。そこは、甘えてしまった自分に後悔だらけです。
 
お金や設備がない
頑張ってバイトしてる子もいましたが、わたしは無理でした。無利子の奨学金を借りていたので、就活資金含め、それを崩して生活してました。
また、私立の女子大なんて、お金も設備もありません。わたしたちが手作業で頑張ってやってたことを機械でやってくれる装置を分子生物学会で見たときは、思わず大学院進学するユミちゃんに「ユミちゃん、偉くなったらこれ買って!!」って言ってしまったもんです。
 
材料がない
4年のほとんどは、自分たちの研究に必要な「輪っか」を作るだけですごく時間がかかっていました。やった!いっぱいできた!(と言っても1mlとか)と思ってもすぐになくなってしまう。多めに作ろうと何度も繰り返すより、まずは本番にかけてそれが適した材料に出来上がっているかを判断してから。そして、それが、ダメだったとき……また、作らなきゃいけないんです。
 
正解がない
当たり前ですが、これがいちばん大事なことです。研究は、正解に向けて石橋を叩きながら走っていくようなものです。仮説を立てて、これに間違いないと思っても、全然違う可能性もある。ただ、「違かった」というのも重大な事実。これから研究が始まる4年生には、うまくいかないときに落ち込まずに、体を壊さない程度にやり続けることで、悔いのない1年間を送ってほしいです。
 
ありがとうございました!
 
(本当は13日に入れてたんだけど、遅れて14日になってしまいました。主催者のやまじゅんくん、ごめんね!)
 
 
Cyndi.